フィリピン不動産投資の正しいやり方とは? 税金やリスクについても解説
フィリピンの高い経済成長率や、伸び続ける人口を見て、不動産投資を検討している人も多いことでしょう。

しかし、フィリピンの不動産事情に関する情報は、まだ少ないのが現状です。

そこで本記事では、フィリピン不動産投資の正しいやり方と、失敗しないためのポイントを詳しく解説していきます。

フィリピン不動産投資における、現地の規制や税金についても網羅していますので、ぜひ参考にしてみてください。

フィリピンの基本情報と不動産事情

フィリピン不動産投資を4つの視点から分析
フィリピンは、高い経済成長率や著しい人口増加率、平均年齢の若さなど、不動産投資の場として魅力的な要素が多いです。

まずは、フィリピンの基本情報をお伝えし、不動産事情について解説していきます。

フィリピンの基本情報

項目 内容
日本からの
アクセス
飛行機で3時間半〜4時間半
人口 1億903万5,343人
(2020年フィリピン国勢調査)
言語 フィリピノ語及び英語
民族 マレー系が主体
他中国系、スペイン系
及び少数民族
宗教 ASEAN唯一のキリスト教国
国民の83%がカトリック、
その他のキリスト教が10%
イスラム教は5%
平均寿命 男性67.4歳、女性73.6歳
(2019年世界保健機関)
主要産業 サービス業(GDPの約6割)
鉱工業(GDPの約3割)
農林水産業(GDPの約1割)
経済成長率
(2019年)
5.7%
物価上昇率
(2019年)
2.5%
貿易相手国
(2020年
輸出データ)
日本(15.5%)、米国(15.2%)
中国(15.0%)
在留邦人数
(2019年10月)
17,753人

引用:外務省

フィリピンは、日本から直行便も就航しており、行きと帰りで時間は異なりますが、3時間半〜4時間半で現地に着けます。

人口は日本と同程度の約1億人。しかし日本の平均年齢が2019年時点で47.4歳に対し、同時期のフィリピンは28.8歳です。

引用:国立社会保障・人口問題研究所

また、フィリピンは新興国の中でも数少ない英語が公用語として使われています。このことから、様々な多国籍企業がコールセンターをフィリピンに配置しています。

このような背景から、2019年時点の経済成長率は5.7%。同時期の日本は0.3%で、その差は歴然です。

また物価上昇率が2.5%と高く、国民の平均所得も年々上昇しており、これにつられて不動産価格も上がると予想できます。不動産投資で重要な人口増加率や経済成長率などを踏まえると、フィリピンは理想的な環境ともいえます。

人口は直近5年間で800万人増加

フィリピンの人口は直近5年間で800万人増加
日本貿易振興機構によると、2020年のフィリピンの人口は1億903万人、2015年の人口調査時と比較して、約800万人増加したと公表しています。

一方で、2020年の日本の人口は1億2622万7000人となっており、2015年に比べ86万8000人減少しています。

さらにフィリピンの人口を語る上でかかせない点が、28歳という平均年齢の若さ

国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、2019年時点のフィリピンの平均年齢は28.8歳、人口のちょうど真ん中である中位数年齢は25.4歳です。

フィリピンの平均年齢や中位数年齢については、他の東南アジア諸国と比較しても目を見張るものがあります。

国名 平均年齢 中位数年齢
インドネシア 32.1歳 30.4歳
ベトナム 33.3歳 31.8歳
タイ 38.2歳 38.6歳
シンガポール 40.8歳 41.1歳

※インドネシア、ベトナム、シンガポールは2019年、タイは2017年のデータ
引用:国立社会保障・人口問題研究所

上記で挙げた東南アジア諸国の平均年齢、中位数年齢のいずれも20代の国はありません。若い人が多いということは、生産年齢人口も多く、住宅の賃貸需要拡大が期待できます。

フィリピンは東南アジア屈指の経済成長率を誇る

人口が増加し続け、比較的若い人が多いフィリピンの経済成長は、目覚ましいものがあります。ここで、フィリピンの直近の経済成長率を見ていきます。

経済成長率(%)
2015 6.35
2016 7.15
2017 6.93
2018 6.34
2019 6.12

引用:IMF

他の東南アジア諸国と比較してみると、インドネシアが4~5%、タイは3~4%ですので、フィリピンの力強い経済成長率がよくわかります。

これだけの高い経済成長率が維持できる理由は、先ほど挙げた若い人が多く生産年齢人口が多い点と、英語が通じて多国籍企業の進出が多い点が挙げられます。

高い経済成長率が続くと、国民所得が上昇し、これにつられて住宅価格も上がり、不動産投資におけるキャピタルゲイン(値上り益)も期待できます。

フィリピン不動産の物件価格は日本の4分の1

フィリピン不動産投資では日本の4分の1で物件が買える
フィリピン不動産の物件価格は、エリアによりますが日本の4分の1程度といわれています。たとえば、マニラの都心部でジム・プール付きのタワーマンションが、3,000万円以下と日本よりも圧倒的に安い金額で入手可能です。

参考:株式会社Enbition

この理由は、フィリピンが発展途上である点と、後ほど詳細をお伝えする「プレビルド方式」であることが挙げられます。

フィリピン不動産投資で押さえておきたい規制と税制

フィリピン不動産投資で押さえておきたい規制と税制
フィリピン不動産投資では、外国人に対する規制を理解しておく必要があります。ここでは、規制や保有・売却時の税金について解説していきます。

フィリピンのコンドミニアム投資の特徴

フィリピン不動産投資はコンドミニアムで所有
日本では、リゾート地などにある集合住宅型の別荘をコンドミニアムと呼ぶことがあります。しかし海外におけるコンドミニアムとは、分譲タイプの集合住宅のことで、日本の分譲マンションとほぼ同じ意味で使われます。

そして重要な点は、フィリピンのコンドミニアム投資は、「ワンルームマンション投資」または「区分所有」という点です。

実は、フィリピンは外国人による土地の保有が認められていません。また、土地と建物を別々に登記できないため、必然的にフィリピンの不動産投資は区分所有になります。

さらに、コンドミニアム1棟に対し、外国人が所有できる割合が40%までという規制があります。好条件の物件が出てきたとしても、コンドミニアム全体に対し、外国人保有割合が40%を超えていれば購入できないことを理解しておきましょう。

引用:国土交通省

なお、フィリピン不動産における、コンドミニアム投資については、別ページで詳しく解説しています。物件価格や注目エリアについても、まとめていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

>>フィリピンのコンドミニアムはいくらで買える? 優良物件に出会える方法も解説

フィリピン不動産投資にかかる税金

日本で不動産を購入・保有すると税金が徴収されます。この点は多くの方もご存知のことでしょう。

もちろんフィリピン不動産投資でも購入・保有に際し、税金が発生します。以下で、フィリピン不動産の取得にかかる税金の一部をまとめてみました。

印紙税 物件の売買価格、
または市場価格の1.5%
譲与税 物件売買価格
または市場価格の0.5%
(マニラ市内の税率は0.75%)
付加
価値税
物件価格によるが12%

※付加価値税は物件価格に含まれて記載されることが多い
引用:弁護士法人 黒田法律事務所
引用:株式会社国際協力銀行

この他にも、保有時に固定資産税や不動産取引税などが徴収されます。

そして注意すべき点が、日本の居住者は、原則として国内で生じた所得および、国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税されることです。

つまり、日本の居住者が海外の不動産を売却したことにより得た譲渡益に対しても、国内にある不動産を売却した場合と同様に、課税されることになります。

しかし、フィリピンと日本は「租税条約」を結んでいるため、確定申告によって外国税額控除が受けられます。

なお外国税額控除を受けるには、先に両国で税金を支払った後、確定申告時に外国税額控除を申請してから還付される流れとなります。

引用:国税庁

フィリピン不動産投資のやり方

フィリピン不動産投資のやり方
それでは、フィリピン不動産投資の具体的なやり方を説明していきます。

購入までの流れ
  1. 資料請求またはセミナー予約
  2. 個別面談
  3. 現地視察ツアー
  4. 物件予約・購入

まずは①、フィリピン不動産を扱う代理店または、エージェントにメールで資料請求してみましょう。なお、資料請求は無料で行える所がほとんどです。

業者選定を終えれば、②個別面談に入ります。面談で大切なことは、自分のニーズをしっかり伝えることです。

そのためには、面談を受ける前に、投資目的や初期費用の予算、毎月の支払い金額などを考えておくといいでしょう。ニーズがまとまっていれば、面談担当者も物件をピックアップしやすくなり、最適な提案を受けられます。

なお個別面談を受けたからといって、その場で物件の購入を決めなくても大丈夫です。

続いて③、最近は入国規制等があり開催されていませんが、現地視察ツアーを開催してくれる代理店やエージェントもいます。物件購入前に、周辺環境等をチェックしておきたい方は、参加してみるのもいいでしょう。

これら全てを終え、物件を選定して契約、初期費用の支払いで購入完了となります。ただし購入に際し、いくつか注意点があるため、以下で詳しく説明していきます。

プレビルド方式特有の購入方法

プレビルド方式特有の購入方法
フィリピン不動産投資の特徴ともいえるプレビルド方式は、購入方法が国内不動産投資とは異なります。

そもそも、プレビルド方式とは建設途中、またはこれから建設予定の物件(コンドミニアム)のことです。

つまり、契約を交わす段階では、まだ物件が完成していない状態となります。先ほど触れた「物件価格が日本の4分の1」という理由が、このプレビルド方式によるためです。

そして、フィリピン不動産投資をプレビルド方式で購入する場合、最初から一括で支払い、またはローンを利用するということはありません。以下、フィリピン不動産投資の購入方法を図で表してみます。

プレビルド方式の購入方法

まず、契約を交わすと、竣工前(完成前)までに物件価格の30%を支払うという形式をとり、毎月分割で支払いをしていきます。

そして竣工後、残りの金額(全体の70%)をローンもしくは一括で支払うという流れです。

なお、購入時には物件価格によって変動しますが、販売手数料として100万円程度の費用が発生します。

竣工後はローンを組むことも可能

頭金30%を払い終え、残りの70%についてはローン利用も可能です。

ただし、日本の金融機関でローンを利用することは難しいため、基本的にはフィリピンの金融機関を利用することになります。

デベロッパーがローンを用意している場合もありますが、フィリピン現地の金融機関に比べローン金利が高くなります。

そのため、可能であればフィリピン現地の金融機関からローンを利用するようにしましょう。

本来であれば、ローンを利用する際、フィリピン現地に行って口座開設などの手続きが必要ですが、代理店やエージェントによっては、手続きを代行してもらえる場合もあります。

代理店・エージェント選びは物件の豊富さなどだけでなく、購入後のフォロー体制もよくチェックしておくといいでしょう。

なお、フィリピン不動産の具体的な購入方法については、別ページで詳しく解説しています。購入手続きはもちろん、初期費用や毎月の分割代金についても解説していますので、詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

>>フィリピン不動産の購入手続きを徹底解説! 相場やローン利用についても紹介

フィリピン不動産投資におけるリスクと注意点

フィリピン不動産投資におけるリスクと注意点
最後に、フィリピン不動産投資における、リスクや注意点をまとめていきます。これからフィリピン不動産投資を始める方は、ぜひチェックしてみてください。

フィリピン不動産投資には竣工リスクがある

竣工リスクとは、物件の完成が遅れる、または建設がストップするリスクです。

プレビルド方式では、建設中のトラブルにより、完成予定日が先送りになる可能性があります。当初の完成予定から1年以上経っても、物件が引き渡されない事例も存在します。

また、物件の販売状況が思わしくないと、建設を途中で止めてしまうことも。そして注意すべき点が、一度建設が止まると再開する可能性が限りなくゼロに近くなることです。

仮に、建設がストップしてしまうと、支払った積立金が返ってくることはありません。これが「海外不動産投資で詐欺にあった」といわれる理由です。

ただし、これは詐欺ではなく、プレビルド方式だからこそのリスクであると理解しておきましょう。

物件が完成しても品質が著しく低い場合がある

フィリピン不動産投資では、物件の品質に注意する
フィリピンなどの新興国不動産は、周辺諸国からの出稼ぎ労働者が工事に関わることが多く、品質が担保されていない場合があります。

しかし、このようなリスクを少しでも軽減する方法は存在します。それは、フィリピンの大手デベロッパーが開発する物件を選ぶことです。

フィリピンの大手デベロッパーには、財閥系のアヤラランド、建設会社として創業した財閥企業であるDMCIホームズ、国内最大のコングロマリット「SMインベストメンツグループ」の大手デベロッパーであるSMDCなどが挙げられます。

大手を選べば絶対大丈夫とはいえませんが、リスクを押さえるためには、デベロッパーをよくチェックしておくといいでしょう。

物件完成時の状態は日本と異なる

こちらも大事なことですが、プレビルド方式によるフィリピン不動産の物件引き渡し時は、内装がないに等しい状態です。

フィリピンでは「ここがトイレやキッチン」など決まりがあっても、レンジや戸棚、クローゼット、洗面台など、内装については投資家が用意しなければなりません。

また、日本では当たり前である、クロスもありません。つまり、物件に入居できる状態にするためには、これら内装費用を物件価格とは別で考えておく必要があります。

この点は、日本の不動産投資と大きく異なり、完成後には内装費用がかかることを押さえておきましょう。

代理店が詐欺業者の可能性がある

残念ながら、海外不動産投資において詐欺事例があるのは事実です。

特にフィリピン不動産投資は、人口増加中や高い経済成長率を維持している、さらにプレビルド方式の特徴を使い、実際には建設予定がない物件を紹介したという事例もあります。

このような詐欺に遭わないためには、代理店やエージェントの販売実績、フィリピン現地のデベロッパーとのつながりなどを細かくチェックしておきましょう。

なお、フィリピン不動産投資における、失敗事例とその対策をまとめた内容を、別記事で詳しく書いています。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

>>フィリピン不動産投資で失敗しないためには? 事例をもとに徹底解説

フィリピン不動産投資のまとめ

今回は、フィリピン不動産投資の正しいやり方について解説してきました。改めて、本記事のまとめをしてみます。

本記事のまとめ
  • フィリピン不動産の価格は日本の1/4
  • 基本はコンドミニアム投資
  • 代理店やエージェント選びは慎重に

本記事を読んでいただき、フィリピン不動産投資に興味を持たれましたら、当サイト運営会社である株式会社Enbitionへお問い合わせください。

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